今から2000年前に生きていた人のことばが、考え方が今に受け継がれている。

その人の名はルクレティウス

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『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』
(スティーヴン・グリーンブラッド、2012)
より01
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《ルクレティウスは今から2000年前に世界に対し、現代で言うところの「原子論」を見ていた。》

「宇宙は、宇宙空間を不規則に動きまわる無数の原子で構成されており、それらが自然の中に漂うほこりのように、衝突し、つながりあい、複雑な構造を形作り、またばらばらになり、創造と破壊のプロセスを絶え間なくくりかえしている」

《この考えに対し、ルクレティウス自身、自然のこのあり方に「驚異」の念をもっていた。》
《そしてこの「驚異」の念こそが、われわれが生きるべき理想の人生の基盤となる、とルクレティウスは考えた。》
《そしてそれゆえ、一種の開放感と、以前はとても恐ろしく見えていたものを正面から見据えることのできる力を人々に与えた。》

「人類ができること、なすべきことは、恐怖に打ち勝つこと、自分自身も、出会うすべてのものも、いつかは消えてゆく存在だという事実を受け入れること、そして、この世の美と愉悦を享受することだ」

毎瞬毎瞬、ぼくたちが見聞きすること・ものは「驚くべきもの」で構成されている。そしてその「驚くべきもの」のあり方からして、自分も誰も何もかも、いずれは消えてゆく。

《それを受け入れること。
生のみならず死まで、創造のみならず破壊まで、受容する。》

なんという肯定感!

だから今を楽しめ!

なんて嬉しいことを言ってくれるんだ!