テレビドラマ『ツイン・ピークス』はたくさんの魅力をもつ作品だけど、そのひとつは、カイル・マクラクラン演じる FBI 特別捜査官デイル・クーパーの誠実な人柄にある。
熱々のブラック・コーヒーとドーナツが大好きなクーパーのために、彼に忠実な信頼を寄せる地元保安官事務所の保安官ハリー・トルーマンが用意したのはドーナツのパレードだった。
これを見てクーパーは「警官の夢!」と感嘆する。
この後もこんな風にならべたドーナツのシーンが出てくるのだけど、ぼくはこのドーナツのならべかたがふしぎでしょうがない。
同じものを2個ずつ重ねて、整然とならべてある。
たぶんこんなならべかたをしたのは、保安官事務所の事務員のルーシー・ラモンのはずで、だからこのならべかたで、ルーシーの几帳面かつ茫洋としてちょっと微妙な性格を表しているのだろう。
これを見ておそらくトルーマン保安官は少々戸惑ったはずだけど、ルーシーになにを言うわけでもなく、ちょっと恥ずかしそうにクーパーに披露する。
クーパーがとても喜んでくれたので、保安官もさぞかしホッとしたはずだ。
こんな、ちょっとしたエピソードに『ツイン・ピークス』の魅力が結晶のようにつまっている。